天満つる明けの明星を君に【完】

雛菊という女の子

来客はやはり父の関係らしく、天満と朔は月夜を見ながら縁側で団子を食べつつそのことを話題にしていた。


「女の子が来るって母様が言ってました」


「ふうん、それはどうでもいいけど客って何の用なんだろう」


ふたりでうーんと唸りながら話していると、急に閃いた天満は朔の袖をぎゅっと握って引っ張った。


「もしかして!朔兄のお嫁さん候補…」


「え?そんなのまだ要らない」


あからさまに嫌そうな顔をした朔が苦笑すると、天満は足をぶらぶらさせて団扇で顔を扇いだ。


「でも朔兄の子が朔兄の次の当主でしょ?早く作らないと…」


「今幾つだと思ってるんだ?まだ先の話だし、お前はやけにうちの家業に対して後ろ向きだから心配だ」


「知りたいことが沢山あるのに教えてもらえないのがずるいなって思ってるだけです」


「じゃあ俺が当主になって色々知ったら教えてやるから安心しろ。天満、もう寝よう」


輝夜が居なくなってからひとりで寝ることが多くなった朔が心配で、実は息吹に願い出て朔と一緒に寝れるように頼んでいた天満は、床をふたつくっつけてにっこり。


「今日から朔兄と寝ます。寝相が悪かったら蹴ります。殴ります」


「俺は寝相悪くない」


「僕は寝相悪いですよ。ころころ転がりますよ。でも蹴らないで下さい。殴らないで下さい。弟なんだから優しくして下さい」


「こういう時だけ弟ぶるな。腹出して寝るなよ」


「その時は僕のお腹に布団をかけて下さい」


どこまでも甘えん坊な天満に朔がふっと笑うと、天満は安心して大の字になって寝転がった。


「わあ、今夜は星がすごいですね」


「ん、お前の名みたいにきれいだな」


月と星が天に満ちる――


真名を褒められてくすぐったくなった天満は、朔にぴっとりくっついてすぐに寝息を立てた。
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