天満つる明けの明星を君に【完】

夢で逢う

――夢を見た。

日なたで寝転んでいる赤子は、指をおしゃぶりしながらこちらを見て、にこにこ笑った。

その顔はまさしく女の子で、天満のように朗らかな笑顔と、そして独特な目の色をしていた。


「あなた…もしかして私の赤ちゃん?」


「うぅー」


思わず駆け寄って抱っこすると、瞬きもせずじっと見上げてきて愛しさがこみ上げて、胸が詰まって涙が溢れ出た。


「もうすぐ会えるのに夢に出て来るなんてどうしたの?」


少し胸がざわついたが、この女の子は絶対に我が子だと確信していた雛菊は、ふわふわで柔らかい身体に感動しつつ、愛らしい顔を覗き込んだ。


「何か言いたくて、会いに来てくれたの?」


「うぅ」


じっと動かずに見つめてくる我が子の独特な目の色に見惚れていると、指をおしゃぶりしたまますうっと寝てしまった。


「可愛い…すごく可愛い…」


やわらかい黒髪を撫でてやった時――我が子の身体が金色の流砂のようにさらさらと形が崩れていき、呆気に取られていると、階段を踏み外した時のような感覚がして飛び起きた。


「赤ちゃん!」


「雛ちゃん?どうしたの?」


傍で昼寝していた雛菊を見守っていた天満が驚いてその肩を抱くと、雛菊は今見た光景をとにかく天満に伝えなければと天満の袖を握ってまくし立てた。


「あのねっ、すごく可愛かったの!女の子で、とにかく美人で目の色が…!」


「?雛ちゃん…なんのこと?夢でも見たの?」


きょとんとしている天満と目が合ってはっと我に返った雛菊は、夢の中で我が子と会ったことは産まれてくるまで天満に内緒にした方が楽しいかもしれないと思い直して首を振った。


「ううん、なんでもないよ。夢を見てたみたい」


「雛ちゃん寝てる間ずっと笑顔だったよ。だから僕もなんか幸せだった」


「ほんと?ふふ…いい夢だったからまた続きを見たいな…」


天満の手を握ってまた目を閉じた。

また会えるようにと願い、天満もまた雛菊が同じ夢を見れますようにと願って傍で本に目を落とした。
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