略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
うなだれる美郷の頭には、いろんなことが渦巻いていた。
あの女性は、陽翔だけではなく、匠海とも何かしらの関係があるらしい。
そして、彼女が匠海の何なのかは、問い詰めていい理由がどこにもないことに、ずっしりと頭が重くなった。
きっとあの女性は、以前美郷がここに来た時にも、匠海の部屋を訪れていた。
美郷と入れ替わるようにして。
ずきずきと痛むこめかみと、心。
呼吸を殺しているから、余計に苦しくなってきた。
じわりと目元が滲む。
女性とふたりきりで会うことはあり得ないと言っていたはずの匠海。
自宅に招くほどの親密な関係の女性がいるとは思いもしなかった。
自分だけが【特別】なのだと、すっかりのぼせ上がっていたのだと思い知らされた。
「もう少しだと思うんだけど、なかなか気持ち引き出せなくて」
「その様子だとちょっと手こずってるのね?」
「彼女も真面目なんだよ。たぶん婚約してることがネックになってるんだと思う」
『真面目』、『婚約』。
匠海の言う『彼女』とは、自分のことかもしれないと美郷は目を見張った。