略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「匠海に期待してるんだから。美郷ちゃんのこと頑張ってよ?」
「わかってるよ」
女性の口から飛び出した自分の名前に、脈が乱れる。
名前も知らないあの女性が、なぜ自分のことを知っているのか。
もしかしたらこれまで、匠海が彼女に美郷についての話をしていたのかもしれない。
恋愛相談でもしていたのだろうか。
「匠海がしっかり美郷ちゃんの心掴んでくれなきゃ、話進まないからね」
「大丈夫だよ」
「頼りにしてる」
話が進まないとはどういうことなのか。
美郷の名前を出したふたりの会話が気にならないわけがない。
美郷を口説き落としたあかつきには、いったい何が待っているというのか。
「長い時間かけてここまで来たんだ。姉貴はもう十分我慢してきたし、楽になってもらいたい」
「うん、ありがとう匠海」
『姉貴』――――?
あの人は、匠海さんのお姉さんなの?
匠海と親密な関係にある女性ではなかったことにほっとする。
しかし、別に匠海に親密な女性がいたからといって自分には関係なかったんだと、過った安堵はかぶりを振って誤魔化した。