略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
どう見れば具合が悪いように見えるのか、佐藤代理も戸惑ったように振り返ってくる。
「だ、大丈夫かな? 乙成さん」
「はい、私は全然……」
「すみません、佐藤代理。自分が必ず送り届けますので、乙成さんを預けていただきたいのですが」
匠海は美郷の言葉を遮り、佐藤代理にこれ以上有無を言わせないつもりだ。
「そ、それでは、お任せ致しましょうか。あ、書類だけは先に持って帰ってもいいかな?」
「はい、お願いします」
美郷が答えるより先に、美郷のバッグを引き取り佐藤代理に渡す匠海。
何を察したわけでもなさそうな佐藤代理は、仕方がないとでも言うように「お大事に」と美郷にいわれのない労りの言葉を掛けて去っていった。
「た、匠海さん、どういうつもりなん……」
「陽翔と話をする」
「え!?」
「あの態度、絶対許さない」
「態度って……」
見上げた匠海の表情は、眉間に深いシワを刻み、琥珀の瞳に怒りの炎を燃やしていた。