略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「おい、何サカってんだよ、人の会社で」
匠海を振りほどく間もなく、事務所から出てきた陽翔が呆れた声を上げた。
「陽翔、ちょうどよかった。お前に話がある」
「なんだよ怖い顔して。てかそいつ、怯えてるぞ」
腕を組んだ陽翔が、美郷を顎で指す。
怒りに燃える匠海の瞳がゆっくりと美郷に移ってくると、握り潰されてしまいそうだった手首はぱっと解放された。
「ご、ごめん」
「い、いえ……」
まだ匠海の感触が残る場所に、じんとした痺れが走った。
どうやら怒りに任せていたらしい匠海は、我を取り戻したようだ。
「話するなら、そこ入れよ」
またしても顎で示す陽翔は、初見よりあまり印象が良くない。
顔立ちは匠海と似ているのに、横柄な態度は似ても似つかなかった。