略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~

 さっき出てきたばかりの応接室を開ける陽翔に続く。

 ふたりで中に入り扉を閉めると、テーブルに腰を預け長い脚を持て余すように組む陽翔と向き合った。


「で? 何の話」


 余裕のある態度で匠海を見やる陽翔は、契約のときとは表情が変わっていた。

 物言いが砕けているのは身内を前にしてのことだろうとはわかるけれど、自身でも言っていたように『仏頂面』という言葉がよくあっている気がした。
 
 隣にいる美郷にも視線を流す陽翔は、美郷の手を辿り匠海と繋がれているところを見て、軽く鼻で笑った。


「婚約の解消でも頼みに来たか」

「わかってるなら話は早いな」

「悪いが、それは受け付けられない」

「は?」


 怪訝に答える匠海と同様、美郷も陽翔の言っていることがよくわからなかった。


「婚約はこのまま継続させてもらう」

「何言ってんだよ。お前、姉貴とはどうするつもりなんだよ」


 陽翔も当然、優花梨と一緒になりたいのだと思っていた。

 美郷と結婚するつもりでいるらしいことに、美郷も匠海も大いに動揺し驚いた。
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