略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
胸にモヤモヤとしたものが湧いて、身体を横に向けながら溜め息とともにそれを吐き出す。
横たわった目線の先にあった、枕元のスマホにいつもと違う気配を感じた。
――――『子どもだなんて思ってないさ。大切な女性なんだから、心配するのは当然だよ』
匠海の言葉に、かすかに胸が騒ぐ。
ほんの数十分隣に居ただけなのに、匠海の姿は容易く思い浮かべられた。
美郷を見つめるあの柔らかな眼差しを思い出し、胸に蔓延っていた靄が引いていく。
次いで甦る抱きしめられたときの感覚に、胸が羞恥に早鐘を打った。
それが陽翔であっても同じように感じるのだろうかと想像してみたけれど、やはり匠海の姿がまざまざと目の前に現れて、さらなる羞恥に耳まで熱くなる顔を枕に埋めた。
恥ずかしさに悶えて両手で枕を握りしめていると、突然耳元のスマホが高々としたコール音を鳴らした。
すぐに思い当たった電話の相手に心臓がドキッと飛び跳ね、枕から勢いよく顔を上げる。
こくりと喉を鳴らし、恐る恐るスマホに伸ばす指はかすかに震えていた。