略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
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 『ごめんね、美郷。また近いうちに予定するそうだから』となぜか母が申し訳なさそうに、今日の流れた予定に頭を下げていた。

 百貨店を任されてから4年。陽翔はあと1年余りで業績を就任前より数倍にアップさせなければならない時期にあるのだと父が話してくれた。


 ほら、やっぱり本当にお忙しいだけなのよ……


 受験勉強のため部屋に戻った愛結の目はなく、食卓で知り得た情報に美郷は安堵を抱く。

 安堵、と言っても、何に安心したのだろうと、自室のベッドに転がりながら思った。

 美郷の中で、やはりいまだに【結婚】が現実的ではない。

 結婚する相手のことを何も知らないからだろうけれど、自分の隣に立つ陽翔の姿を想像できなかった。

 それをリアルに考えられない理由を、相手の忙しさのせいにしているから安心したのではないかと、薄情な自分を見つけてしまった。
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