略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
『あー、美郷ちゃんのこと抱きしめて眠りたい』

「わ、私は抱き枕じゃないですっ」

『本当に可愛いな』

「またそんな……」

『ほんとだよ。すごく可愛い。今すぐにでも抱きしめに行きたい』


 声のトーンを落とした匠海の、本心とも思える言葉に顔が真っ赤になる。

 匠海からは見えていないのに、恥ずかしさに俯いてしまう。


『明日も電話していい?』

「えっと……」

『だめだと思うなら出なくても構わないから』
 

 柔らかな笑い声の匠海に、さり気ない優しさが見える。

 美郷に拒否をする余地をくれたのだ。

 それに気づくと同時に、鼓動が急速になる。


『おやすみ、美郷。好きだよ』

「おっ、おや、おやすみなさいっ!!」


 何度も言われた言葉なのに、脈を上げていた心臓がばちんと大きく弾け飛んだ。

 急騰する恥ずかしさに勢いで電話を切る。

 隠れるようにスマホを枕で覆い、匠海との距離を取った。

 そのままベッドに真っ赤な顔を埋め耳を塞ぐものの、今言われた言葉は頭の中でぐるぐると繰り返される。


 胸が苦しい。

 どきどきが治まらない。

 おかしい、私……どうして……。


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