略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
「そのとおりよ」

「そうでしたね、すみませんっ」


 テヘペロの仕草で軽く受け流す理子に、美郷は内心自分の言葉は自分に言い聞かせているようだと思った。

 今以上、匠海との距離を縮めてはいけない。

 あくまで取引先の人として接しなければいけない。

 匠海だって、『大切な取引先のご令嬢』だと言っていた。

 美郷が大変な目に遭えば、匠海としても立場がよくないかもしれない。

 取引相手の身内にはいい印象を持っていてもらわなければ、彼の業績に関わってくるのかもしれなかった。

 だったら、最初から美郷に声を掛けたりしなければ、何の問題もなかったんじゃないかと思うと、なんだか胸がしゅんとしてしまう。


 ――――『好きだよ』


 思い出した匠海の甘い告白が、彼の体裁を守るためのものだとは到底思えない。

 サンドウィッチにかぶりついたまま、美郷の顔は耳まで真っ赤に熱を持ってしまった。
< 63 / 241 >

この作品をシェア

pagetop