略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
普通の恋人同士であれば、そういった連絡の取り合いも何の問題もない。
けれど例えば美郷が、今店員に先導されているカップルのように、休日に匠海とふたりで出かけたりするのは、明らかな不貞行為だ。
カップルに自分たちを重ねて想像してしまい、あまりに気恥ずかしくて変な汗が出る。
ランチを一緒に、なんて誘われたりしても、そこはちゃんとした線引きをしておかないといけない。
ガヤガヤとした女性客だらけの店内で、あのカップルのように寄り添っていては人目を引いてしまうだろう。
淡いピンクのコートを腕にかけた女性は、モデルのようにすらりとしていて、振り向いた顔はとても美人だ。
それに、隣のあの黒のジャケットを羽織った男性客は、たぶん匠海と同じくらいの長身で、芸能人のようなオーラを放つ容姿ではさすがに目立つ。
愛結の向こうに見えるカップルの姿に、周囲と同じように視線が引き付けられた。
そして、その男性がふと顔を上げた瞬間、美郷の心臓は一瞬だけ止まりそうになった。