略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
慣れた手つきで彼女のバッグとコートを取り、椅子を引いてあげる彼氏はさながら外国の紳士のよう。
彼らを凝視したまま目を見開いたのは、彼女を座らせてから席に着いた男性が、匠海によく似ていたからだ。
逸らせない視線で追ったカップルは、美郷のいる奥の席より離れた場所につく。
一息吐いたその男性のきりっとした顔立ちは、角度が変わるとやはり別人だった。
た、匠海さんのデートに遭遇したのかと思った……びっくりした……
世の中には顔が似てる人くらい数人はいるはずだ。
ほっと溜め息をつくように、口をつけたままのカップに息を吹く。
自分が一体何に安心したのかと、ふとした疑問が湧くものの、含んだ紅茶とともにすぐに飲み込んでしまった。
「え、なに?」
美郷の視線に気づいた愛結が、それを辿るように振り返る。
「ううん、こういう女の子ばっかりの店だと、あの男の人恥ずかしいんじゃないかって思っただけ」
「ああ、たしかに。けどスイーツ男子って言葉もあるくらいだし、甘いものが好きで来る人もいるんじゃない?」