略奪宣言~エリート御曹司に溺愛されました~
 彼女は、匠海以外に美郷の婚約を知る唯一の同僚だ。
 
 彼女以外に周知していないのは、ただでさえ“頭取の孫”と言うだけで、周囲は色眼鏡で美郷を見てくるから。

 大多数の人は、大企業の御曹司と婚約しているとわかれば、美郷がここに就職したのも、腰掛け程度かと思いかねない。

 美郷としては、“お嬢様”と揶揄されるより、きちんと社会の一員として働きたかった。

 採用試験も周りと同様に正々堂々と受験をして、就職してからも仕事に対して真摯な姿勢で取り組んだ。

 頭取の孫だからと媚びへつらわない営業本部長が上司であったことも幸いして、美郷は周囲に引けを取らず業務に邁進することができた。

 身内の会社とはいえ、一社会人として働けることに喜びを感じている美郷は、この先結婚したとしても、家庭に収まるつもりがないことを先方にも了承してもらっている。


 もしかしたら、それがまずかったのかな……。
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