【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。
「なに、なに? 転校生! 早速、ありす口説いてるの? 悪いけど、ありすはあたしのマブダチ!」
「マブダチって古くないか?」
「うるさいな! いじめるよ?」
「おー、怖っ」
さっき見たのと同じようなやり取りを至はしている。すっかりクラスにとけ込んで、思った通り明るくてムードメーカーになれそうな人。
「何だ。あの時、死にそうな顔してたけど。上手くやってるじゃん」
「……至のおかげだから」
「え?」
「なんでもない!」
至が勇気をくれたからなんて、言えない。今日、初めて友達が出来たなんて……。
「ありす。連絡先教えて」
彼女はスマホを差し出す。
「あ、ごめん。スマホのことよくわからなくて……」
「うっそ。ありす、可愛い!」