【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。


 彼女は私のスマホを探って教えてくれる。ただ説明が早くてよくわからない。
 でも、まあいいかなんて思う。

 ふと、横を見たらいつまでも腕を掴んだままの至。どこか不貞腐れてるみたい。



「後で案内しようか? 学校」



 仕方なしに言うとぱっと表情が明るくなる。

 単純というか、素直というか、至は今まで出会った誰とも違う。

 すごく、何だろう……温かい。まるで、心が見えるような人。



「案内する。昼休みにね」

「お礼は俺の連絡先でどう?」

「……いいよ」

「ところで、髪色のこと言わないのな」

「私が色を気にしないって、知ってるでしょ?」

「……知ってる」



 戻ってきたスマホには初めての友達の名前。そしてきっと至も登録される。

 ずっと抑えていたはずなのに、もう我慢出来そうになかった。


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