【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。


「ありす?」

「至、なに泣かせてんだよ」

「俺!?」



 慌てる至が可笑しくて、泣き笑いみたいになってしまった。

 私の感情があっちへこっちへ、ふらふらするから落ち着かない。

 そんな私を見たみんなが、困った表情をしてる。



「ごめん、すごく嬉しかったから」



 言うと、至が私を強く抱きしめる。
 驚いたのは、多分私だけじゃないはず。しんと静かになった教室の空気でわかる。



「本当にもう! ありす、好き!!」



 至の声に、私は抱きしめられたまま見上げてしまう。
 さぞ、私の顔は真っ赤になっているんだろうな。今の至と同じくらいに……。



「転校初日に告白する奴、初めて見たよ」

「まあ、ありすが可愛いのは認める」

「いきなりとか、すげーな」



 クラスメイトの声に、我に返ったらしい至が慌てて私を離す。


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