【短】あなたが優しく笑うから、心が激しく波打った。


「ご、ごめん」

「……うん」



 お互い恥ずかしくなって顔も見られない。

 あれって告白なの?
 違うよね。そうじゃなくて、友達とか妹みたいな感覚で言ったんだよね?



「二人、お似合いだけどね」

「確かに」



 好き。至の唇が紡いだ言葉が、どんどん私の心に浸透していく。

 冷静に、落ち着いて、波紋すらたてないようにと気張っていた心が、いつの間にか動き出す。

 遠く、波打つ音が私の心を突き動かした。



「至。昼休みに話したいことある」

「え?」



 こっそり、至だけに聞こえるようにそう言ったら嬉しそうに笑う。あまりにも優しい微笑みに、私の心が初めて動く。

 多分、恋心を抱いたのは今が初めて。

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