【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
いつものファイルと手帳、それに、片手にはお弁当が入った保冷バッグ。
病院の駐車場に到着してから、それまでにはなかった緊張が生まれていた。
用意をしているときは作る方に必死だったけど、いざ持っていくとなるとやっぱり落ち着かない。
それでも、勇気を出してコンコンと市來先生の名前のプレートが挿さる診療室をノックした。
「失礼します」
いざ!と気合いを入れてドアを開けたけれど、部屋の中に市來先生の姿は見当たらない。
中へと入り、後ろ手でドアを閉めたところに、奥の通路と仕切るカーテンから年配の看護師さんが顔を出した。
「あ、お世話になってます」
「お世話様です〜。市來先生、この時間に来てって言われました?」
「はい。外されてますか?」
看護師さんは腕時計に目を落とし、「んー……もしかしたら」と唸る。
「午後、先生オペに入るから、休憩に出たのかもしれない。よくね、あまり暑くない日は中庭とかで休んでるんだけど、呼び出してみましょうか?」
そう言ってPHSを手に取ったところに「あっ、大丈夫です!」と慌てて声を掛けた。
「他も回るので、自分で探してみます。ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げ、入ったばかりの扉に再び手をかけた。