【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛


市來先生は黙々と私の作ってきたお弁当を食べてくれた。

時折、独り言のように何がどう美味しいと感想を口にしながら、一欠片も残さず食べ終えてくれた。


「ごちそうさまでした」

「……お粗末さまでした」


ランチボックスに蓋をするところ、横から「持って帰りますので」と一式を受け取る。

さっき高鳴り始めてしまった鼓動がなかなか落ち着かず、先生の顔を見られない。

手作りの料理を異性に披露することがこんなに恥ずかしいことなのかと、この歳になって初めて体験していた。

そそくさとランチボックスを保冷バッグに押し込み、「あと、これを……」と、仕事のファイルから書類を取り出した。


「こちらお知らせなんですが、効能と効果の追加がありましたので、取得に関するお知らせです。ご一読ください。詳しくは弊社のホームページにも掲載していますので」


仕事の話をぶっ込んで平静を装う。

「では」と荷物をまとめてベンチを立ち上がろうとしたところで、予告なしに頭の上に市來先生の手の平が載ってきた。

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