【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
「それは、良かったです。じゃあ、ちゃっちゃと食べちゃってください。午後、オペだって聞きました」
横からじっと見られているのも食べづらいだろうし、見ていると私自身も感想を心待ちにしているようだから、気にしていないつもりでとなりで仕事のファイルを開く。
「いただきます」と言った市來先生は何から食べたのか「お、美味い」と好感触な一言目を発した。
反射的に目を向けて、そこに見た市來先生の少年のような横顔に、意識とは別でドクンと鼓動が大きく打ち鳴る。
知り合ってから今まで、こんな顔は見たことない。
そんなワクワクしたような可愛い顔をするなんて、想像もできなかった。
「……ん? なんかガリっていったぞ」
「えっ、うそ!」
ピタリと咀嚼を止めて、口の中を舌で探りだす。
えっ、まさかの異物混入⁈
「……卵の殻だ」
「えっ、やだ、すみません!」
せっかく褒めてもらったのに、厚焼き玉子にまさかの卵の殻混入。
となりであわあわしていると、市來先生はそれを大して気にもせず「大丈夫、カルシウム摂取ってことで」と流してくれる。
「すみません……」と謝りながら、そう言ってくれた先生の端正な横顔に胸が高鳴っていた。