【医者恋シリーズ3】エリート外科医の蜜甘求愛
こういう大学病院や総合病院は訪問の頻度は高いものの、毎回同じ科やドクターを伺うことは少ない。
満遍なく色々な科に回っているような感じだ。
でも確かに、椎名先生がここにやってきてから、呼ばれることは多いかもしれない。
もちろん全部、仕事関係のことでだけど……。
「知りませんよ。でも、ちゃんと毎回仕事の用ですし、そういうプライベートなことは全く……」
「そうか? そうは思えないけど」
「え、どういう意味ですか?」
だんだんと市來先生の喋りが突き放すような調子になってきて、私の方もつい食い付く勢いのキツい口調になっていく。
じっと見上げる私から視線を外し、市來先生はまたデスクの定位置へと戻る。
長い脚を組み、片手でキーボード入力をし始めた。
「だから、そういう風には見えないって言ってんだよ。良かったじゃん、好きだった男もお前のこと気にかけてるなら、万々歳だし」
掛けられた言葉、目に映るどうでも良さそうな態度。
ズキンと胸の辺りが痛む。
返す言葉に詰まっていると、市來先生は手を止め、やっぱり微笑を浮かべて私を見つめた。