剣心一如!~「教えてやろうか?恋の仕方」─香取くんの恋愛指南は辛く厳しく、超絶甘い!?
夏の夜の小悪魔男子

「ごめん!ホントにごめん!!」

 顔の前に手を合わせ、平謝りに謝る私。


「ずるい。ホントにずるい」

「瑠璃がそんな子だと思わなかった」

「ほんそれ。めっちゃショック」


 私の前にはのりかちゃんとまひろちゃん、それに知世。


「ホントにごめんなさい!」

 私は深々と頭を下げる。


 なんでこんなことになったかと言うと…



『ふたりで行かなきゃデートにならないでしょ?』


 夏休みの初めにある河川敷の花火大会。
 それに「ふたりで行こう」と香取くんが言い出したから。当然それは『デートの練習』ということなんだけど…

 もちろん私は先に「みんなで行こう」と話していたから香取くんにもそう提案したのだけど、香取くんは頑として聞き入れなかった。
 それで仕方なく私は3人に頭を下げているところなわけで。

 と言っても「香取くんと行く」なんてみんなには言えず、「好きな人に誘われた」とだけ言ってあるのだけど─


「ぷっ!」

「くくっ!!」

「あっはは!!」


 90度以上下げた頭の上で笑い声が弾ける。

(え…?)

 そっと顔を上げると…


「もー!瑠璃ってば可愛い過ぎ!!」

「やだ!ちょっ、本気で怒ってると思った?」

「あはは!そんなわけないじゃん~」

 笑いながら3人がバシバシ叩いてくる。


(へっ!?)

「ていうかさ、やったじゃん瑠璃ー!!」

「だから言ったでしょー!瑠璃可愛いから上手くいくよって」

「ホント自分のことくらい嬉しいッ!」


(ありがとうみんな…

でもごめん。誘われたって言ってもそんな甘いお誘いじゃないんだ…)

 そう、『デートのお誘い』ではなく、あくまでも『お稽古のお誘い』…

     *   *   *
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