王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
……不思議なものだ。
それは単純な、容姿どうこうの話ではない。身に纏う雰囲気や空気までもが、以前とはまるで違っていた。
アイリーンをこうも輝かせるのは、自信や経験に肉付けされた内側から滲み出る魅力。
「ええ。エミリーが私を新しく生まれ変わらせた。だから私にとって、エミリーは単に友人というだけじゃなく、大切すぎる恩人でもある。とにかくフレデリック様、エミリーを泣かせたら、私が承知しませんよ?」
エミリーを真に案じるからこその、俺への牽制。これには俺も、素直に是と答える以外の選択肢はない。
「肝に銘じておこう」
「……驚いたわ。良くも悪くも殿下は自分の信じる道、自分の欲しい物、それらの為には力で奪う事だって厭わないと思っていました」
アイリーンは少しばかり意外だとでもいうように、小さく首を傾げてみせた。