王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「率直に言えば、俺はエミリーを我が物にしたい。事実俺は其方の言う通り、俺の信じる正義の為ならば、力の行使も厭わない。しかし、エミリーに関してだけは、権力に物言わせて奪うのでは駄目なのだ。強引な手段でエミリーを手にしたならば、それはきっとエミリーであって、俺の求めるエミリーとは違う人形になってしまうだろう。忌憚なく俺に物を言い、笑みばかりでないあらゆる表情を見せてくれるエミリーでなければ意味がない。強引に力で捻じ伏せれば、俺は一生エミリーの笑みを見る事叶わなくなってしまうだろう」

 語った言葉に嘘はない。けれど必ずしも、これが全てでもない。

 俺の心の内には、口に出すのも憚られるもっと生々しい欲望めいた感情もとぐろを巻いている。

 エミリーを手に入れる為ならば、財も権力も全てを行使して、強引にでも我が物にしてしまいたい、そんな思いも見え隠れする。
 
 なにより、人形でもいいから欲しいと、望んでしまいそうになる。



< 111 / 284 >

この作品をシェア

pagetop