王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 けれどそれ以上に、やはりエミリーの笑顔には価値がある。

「……殿下も、お変わりになられました。以前は、間違ってもこんなふうに熱いお人ではありませんでしたもの」

 アイリーンの言葉に苦笑が浮かぶ。

 ……熱い。確かにそうだろう。

 俺のこれまでの人生の中で、これほどまでに欲したものなどなかった。

 けれど俺は、見つけてしまった。俺の唯一無二に、出逢ってしまったから……。

「そうか。アイリーン、今のは誉め言葉としてもらっておこう。さて、ところでアイリーン、今日其方の元を訪ねたのは他でもない。其方が推進している『おひとりさま推進事業』の件だ。これに父が頭を抱えている」

「あらいやだ。エミリーの件が本題じゃありませんの?」

 アイリーンは、狸だ。



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