王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
……アイリーンは俺が思っていた以上に、強く逞しく変貌を遂げていた。
しかも直接の対峙に躊躇した父の思惑まで、アイリーンには全てお見通しだ。
そうしてアイリーンの氷の微笑には、伯母上の姿がピタリと重なる。実を言えば、俺とアイリーンはいとこの間柄だ。
アイリーンの母上は、父国王の姉で、俺には伯母になる。
サントマルク王国の至宝と謳われた美貌の伯母は、その実、弟を子分のように従えて無謀を吹っ掛けては泣かせてばかりいた、逞しすぎる女性であった。
……ちなみに父は、今でも五歳年長の伯母とその娘に、腰が引けている。俺としては父の意気地どうこうよりも、幼少期に刷り込みのように植え付けられた父の恐怖心を思い、少々気の毒に感じている。
だから父の懇願に負け、引き受けてしまったのだが……。
「……父には説得に失敗したと伝えておこう」