王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
そもそも漢方は、その人の持つ自然治癒力を高めるためのもの。
重篤な状況にあって、漢方はなかなか根治薬とはなり得ない。
「妹は幼少期からよく発作を起こす。だけど今朝のは……、今朝の発作は全身を痙攣させるほどの激しい発作だった。激しい咳と呼吸困難で、今度こそ、そのまま呼吸が止まってしまうんじゃないかって本気で思った。けど、なんとか持ち直して……俺、居てもたってもいられなくて。それで俺、お前の事を思い出したんだ」
……おそらく、喘息だ。
ここまで一息で言い終えたミハルは、目に涙を溜めていた。
「あの後、軍に帰って仲間にポロッとお前の事を話したら、お前に家族が救われたって奴がいた。しかも、一人じゃない。アイリーン商会の薬もいいけど、実際にニーディ村の薬師にかかって調薬してもらった薬は効果が凄いって、多くの奴らが言ってたよ。……俺の妹、今朝は何とか命を繋いだけど、次の発作がくれば無事じゃないかもしれない! どうか、どうか妹を、助けてやって欲しい!」