王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
呼吸困難を伴うほどの喘息発作なら、本来は漢方じゃない。だけどここには吸入薬も、ステロイドも存在しない。
それでも、漢方にだって作用は緩やかだけれど、気管の痙攣を抑える処方はちゃんとある!
「ミハル、必ずとは言えない。だけど、私の持ちうる全てで、妹さんの治療にあたらせてもらよ」
私の言葉を耳にしたミハルの目尻から、涙が珠になってホロホロと頬を伝う。
「お願いします! どうか、よろしくお願いします!」
けれどミハルは零れる涙を拭おうともせず、私の前に直角に腰を折った。
幸運にも、現在この村に重篤な患者はいない。先だって体調を崩していたのアンソニーのお母様も無事に快方に向かい、数日前に薬を渡したのを最後に私の手を離れている。
ならば今は、ミハルの妹さんのために、出来る限りの手を尽くそう!