王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 俺も、反射的に目線を下げる。これはもう、条件反射というか、本能的なもの。鋼の精神を持つ俺ですら抗えない、不可抗力というやつだった。

 ところが、いざ目線を向けてみれば……、うん? 見えんな?

 どうやって身を捩っても、俺の位置からスカートの中身は見えなかった。

「ちょっとフレデリック様!? なに見てんですか!?」

「いや、俺はなにも見てはいない。というよりも、この位置からは残念ながら見えん」
「残念ながら見えんってなんですか!? って、アイタタタタタタッッ!!」

 エミリーが油断して抵抗をやめた隙に、マキロンは何食わぬ顔で処置を再開した。

 一瞬油断しかけた俺も、慌ててエミリーを抑え込む腕に力を篭めた。

「ほっほっほっ。ほれ嬢ちゃん、儂がなるたけ傷が残らんよう、よーく治療をしてやる。じゃからちょいとは我慢せんかい」




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