王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~
……マキロンはさすが、王宮御殿医を務めるだけの事はある。その処置には一切の躊躇がなく、余裕すら醸し出す。
「だって、痛いものは……イッターイっっ!!」
「ほっほっほっ。なーに嬢ちゃん、後もうちょっとじゃて」
「エミリー、マキロンに任せておけば大丈夫だ! あと、少しの辛抱だぞ!! 頑張れっ!!」
「もうヤダー! 頑張りたくなーい、って、アイタタタタタッッ!!」
そうして全ての処置を終えた直後、エミリーは満身創痍で俺の腕に沈んだ。
「……エミリー、よく頑張ったな。ゆっくり休め」
俺はくてんと力の抜けたエミリーを抱え上げると、客間の寝台にそっと寝かしつけた。
俺は掛布を首元まで引き上げると、名残惜しくエミリーをひと撫でした。すると、サラリと撫でつけたエミリーの額に、じんわりと汗が滲む。
……エミリー、本当によく頑張ってくれた。
「無事で、良かった……」
俺はそっと手を引かせると、今度こそ客間を後にした。