王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


 サントマルク王国軍第三師団に所属するエリートであるはずの青二才は、何故か五万エンネの金額に顔を真っ青にした。

 ……高給取りのくせに、存外セコイ野郎だ。

「ミハル。その薬草なら五万エンネは適正価格だ」

 声は、フレデリック様から上がった。

「な!? フレデリック様、俺が払うんですか!?」
「其方が駄目にしたのだから当然だろう? それよりも副師団長、薬物兵器の一件だが、一切の後遺症を残さないそうだ」

「なんですと!? そんな事があり得るのですか?」

「ふむ。俺も聞かされた時は耳を疑ったが、どうやら嘘ではなさそうだ」

 青二才、改めミハルは、フレデリック様から弁済を言い渡されて放心していた。何事か言いたそうにしていたが、既にフレデリック様は副師団長との情報共有に忙しく、ミハルが口を挟む隙は無い。

「……そんな」

 ポツリと零されたミハルの呟きは、悲壮感に満ちていた。






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