王子?団長?どっちもお呼びじゃありません!!~異世界悠々おひとりさま満喫日記~


「一人だ。そもそも俺は、普段からあんなに大人数の隊員を引き連れている訳ではない。あの日は、其方という疑惑の要人の聴取を心配した副師団長が、隊列を組んで追ってきたのだ」
「……疑惑の要人とは、また大層な」

「いや、エミリー。其方を要人と評するのも、決して大仰な物言いではないと、今では一層そう思える。エミリーの薬学知識、また、その着眼点は他を凌駕している」

 私の呟きを、フレデリック様は即座に否定した。

「唐辛子の刺激はもちろん周知だ。しかしそれの兵器応用や、ましてや後遺症の有無にまで発想を飛ばした事はなかったと、我が師団の科学者も目を剥いていた」

 私は決して唐辛子パウダーを兵器に応用したかった訳ではない……。




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