恋人未満のこじらせ愛
到着したエレベーターに押し込まれ、彼はポケットから出したセキュリティカードをかざしている。
上層階へのロックは解除されて、徐々にエレベーターは上へと上がって行く。

到着した階で下ろされ、無理矢理部屋に押し込まれた。



(うわぁ……)

部屋に入った瞬間、言葉を失った。
窓の奥に見えるのは、大きなスカイツリー。
ライトアップされたスカイツリーと、東京の夜景が煌めいている。

呆然と立ち尽くしていると、彼はさっさとベッドに腰かけて上着を脱いだ。
ネクタイを緩めながら「で、何だっけ?」と。


「……かばん返してください」

そもそもさっきから私のかばんは彼の傍らにある。

「じゃあこっちに来なさい」

「嫌です」

「何で?」

「それはこっちのセリフです」

私の言葉にはぁっとため息をつく。
そのまま立ち上がったかと思えば、目の前に立ち顔を覗きこんだ。

「とりあえずさっきの続き、喋ってもらおうか」

グッとシャツの襟元を捕まれたかと思うと──首筋に痛みが走る。
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