恋人未満のこじらせ愛
どうしようかと立ちすくんでいたけれど、ふと我に返り「追いかけなきゃ」という気持ちが沸き上がる。


もう見えなくなりそうな二人を、速足で追いかける。


「待て」

誰かに腕を掴まれて、私は動けなくなる。


「お前どうする気だった?」

顔を上げるとそこに居たのは──大村先輩。


なぜだかわからない。
わからないけれど、ポツリ、ポツリと涙が溢れてくる。

「あれだけだと証拠としては弱いけどな、言い逃れはいくらでもできるだろうし」

そうか、大村先輩も知っていたんだ。
同じように確かめようと、ここに居たんだ。


「大村先輩はいつから…」

「先月ぐらいかな。ただ確証を得たのはさっきだけど」

涙が止まらない私を、大村先輩は優しく頭を撫でた。
まるで包み込むように。
私は更に涙が止まらなくなり、しがみつくように胸に飛び込む。

「……行こうか」

そして私は肩を抱かれて、一緒に駅に向かい電車に乗った。
乗っている間も会話は無いが、肩を抱いてくれていたまま。それでないと崩れそうなことがわかっていたのだろう。


連れていかれたのは、大村先輩のアパート。
サークルのメンバーでみんな良く来ている。
部屋に上がっても私は気の抜けたようにぼうっとしながら、床にへたりこんでいた。
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