恋人未満のこじらせ愛
その様子が可笑しかったみたいで、二人はクスりと笑っている。

六島さんが「課長は謎なんですよ」と。
「仕事の後、飲みに誘おうとしてもさっさと帰るじゃないですかー。
あんまり自分から何か話してくれないし」

「そうですよ、僕も映画好きなの初めて知りましたもん」
石見君も掩護射撃。

そんな二人をしれっとかわすように「だってお前ら興味無いだろ?」と。

「大抵映画に誘っても、俺が好きなラインナップは引かれるんだよ。ハリウッド制作のSFぐらいならみんな見るだろうけど」

「例えばどんなのなんですかー?」

「任侠もの見に行くって誘ってもヤだろ。血生臭いやつ」

あぁ、確かにこの人血生臭いやつ好きだわ…。

「北野監督作品ぐらいなら喜んでみるやつ多いけどな。ただ古いガチな作品は引かれるな。確実」

「仁義なきシリーズとか、ですか…?」

「そうだな。網走シリーズとか知ってるか?高倉健主演のシリーズ。
今でこそ日本を代表する俳優として名高いが元々1960年代の任侠映画の代表する俳優だし、高橋英樹だって元々は日活の任侠映画で人気が出た過去がある。第一任侠映画って名前は1960年代から1970年代前半にかけて東映が制作した…」

「課長、みんなついていってないです」

二人がポカンとした表情で聞いている。
だめだ、これは。
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