三途の川のお茶屋さん
「おじさん、お団子だけじゃありませんよ。これからはまた、食べたい物、飲みたい物、口にできるようにになりますよ」
「はははっ、そりゃ嬉しいねぇ。でもなんでかねぇ、この団子を二度と食えねぇ事が少し、残念に感じんなぁ」
おじさんは船に乗れば、ここで食べた団子の味を忘れてしまう。
「ありがとうございます。お気を付けて、良い旅を」
いいや、おじさんだけじゃない。ここに立ち寄った誰も彼もが、団子の味を忘れてしまう。
「ほんじゃぁな、姉ちゃんも達者でな」
おじさんは微笑みをたたえたまま、ヒラヒラと手を振って店を出て行った。
「お姉さん、おかわりを貰えるかのぉ?」
「姉ちゃんこっちも追加をくれ」
「はいはい、ただいま!」
その後も息つく間がなかった。今日も『ほほえみ茶屋』は大盛況で、お客様は絶える事がない。
「ご馳走さん」
「よい、船旅を」
てんやわんやで最後のお客様を送り出し、最終便の出発を見送った。