三途の川のお茶屋さん
「なんでだったかは、ようよう覚えちゃいねぇが、食いてぇのに食えなかった気がするんだよなぁ。食いてぇ気ぃばっかりで、体が受け付けてくんなくてなぁ。茶も喉鳴らして飲むなんて出来なかったっけなぁ?」
おじさんの記憶は霞がかって、おぼろな物になっている。それでも深層心理には、記憶として残っている。
おじさんの言葉が、胸の奥につかえるように苦しかった。
……食べたい、飲みたい、なのに口に出来ないもどかしい思い。それは生前、病床の私も涙ながらに感じていた。
「……よく、分かります。私も食べたいのに食べられなくて、飲みたいのに飲めなくて。小さな氷を、口に含んでいました」
「お? おお! 俺も冷てぇ氷をちいっとずつ溶かしてたっけかなぁ?」