三途の川のお茶屋さん
「ええっと、よろしかったら私が十夜を呼んできましょうか?」
「おや、娘さん気が利くねぇ。それじゃ、頼んだよ。あぁあぁ、お茶は先に淹れてっとくれよ? 飲みながら待つんだからね?」
「あ、はい」
なんだか随分とちゃっかりしたお婆さんだ。
とりあえず私は残りの開店準備を手早く済ませ、お婆さんにお茶を淹れると、大急ぎで埠頭に向かった。
『ほほえみ茶屋』の開店前ならば、当然船も出向前だ。
埠頭には、十夜と懸人さん、修理業者さんの三人がひっくり返した船底を見て、あれやこれやと言葉を交わしていた。
話にひと段落ついたタイミングを見計らい、声を掛けた。
「おはようございます。お話し中にすいません、十夜に来客があって呼びに来たんですが、少し外せそうですか?」