三途の川のお茶屋さん
十夜と心を通わせて、この日の帰路はいつもより、並ぶ二人の距離が近かった。
「なぁ幸子、お茶屋のメニューは、どうして団子なんだ?」
十夜はいつも通り残り物の団子を頬張りながら、隣で肩を並べて歩く私に問いかけた。
「いきなりどうしたんですか?」
「ん? ふと思っただけだ。まぁ、団子で良かったんだがな」
醤油ダレの団子を完食した十夜は、揚々と二本目のきな粉の団子に噛り付いた。
「ふふふっ、どうしてお団子かは……内緒です」
「?」
十夜は口をもぐもぐさせながら、首を傾げていた。
お茶屋を始めると決めた時、まず提供するメニューに迷った。
思考錯誤しながら、最終的に候補は三つまで絞った。最終的には十夜の鶴の一声で、私が団子に決めたのだ。
……十夜の好物だから。だからお茶屋は、迷わず団子屋になった。