三途の川のお茶屋さん


……要するに、好きではないのだ。

スッ。

「おいっ!?」

私は十夜がお茶を飲んでいる隙に、ヒョイッとフォークを伸ばし、十夜の食べかけの羊羹を一刺しした。

十夜から奪った羊羹を一口で頬張った私に、十夜は目を丸くしていた。

「残ってるみたいだったので、貰っちゃいました」
「……そうか」

十夜はちょっとだけ、安堵の表情を浮かべていた。食べ難い物は残してくれて全然構わないのに、十夜は物凄く義理堅い。

私はこれ以降、十夜に羊羹は一度も出していない。

ついでに普段の食事でも、十夜の箸の進みが極端に鈍い物に気が付けば、二度目は出さないようにしている。

そうして三日目に、団子を出した。

目に見えて、十夜の食いつきがいい。あんこ、きな粉、醤油ダレ、十夜はあっという間に団子を完食した。



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