三途の川のお茶屋さん
「十夜は、お団子好きなんですか?」
「あぁ、団子なら毎日でも食えるぞ」
「そうですか。でもそんなふうに聞かされると、これから毎日出しちゃうかもしれません」
「団子なら構わんぞ?」
!!
私にはもう、団子以外の選択肢などなかった。
こうして『ほほえみ茶屋』は団子屋になったのだ。
そうして開業から二十年、十夜の言葉に二言は無かった。
おかげで私は団子の廃棄に業者を手配した事が一度もない。団子の残りは、こんなふうに全て、十夜が胃袋に収めてくれる。
だから私はこれまで、自分の団子を口にする機会があまりなかった。
「十夜、きな粉のお団子、私にも下さい?」
タツ江さんにお土産を包んだ事もあって、今日の残りは醤油ダレ、きな粉、あんこ、それぞれ一本ずつ。
だからきな粉のお団子は、十夜が齧る一本のみだ。