三途の川のお茶屋さん
「タツ江、放せっ。お前に何が分かる、俺の何がっ!」
「……懸人、なんと言われようがあたしゃ今度こそ絶対に、あんたを放しゃしないからね」
懸人さんの悲痛な叫びが木霊する。だけど私には、静かに紡がれるタツ江さんの言葉の方が、心に重く響いていた。
バッシャーンッ!!
上がる水音。ついにタツ江さんが、懸人さんを船から引き摺り落とした。
バッシャーンッ!
けれど水音が、もうひとつ上がった。驚いて見れば、タツ江さんも懸人さんの後を追って川に飛び込んでいた。
タツ江さんの腕が、懸人さんを背後から抱き込むようにして抑える。懸人さんは船を掴もうと必死にもがくけれど、怪我で俊敏さを欠き、タツ江さんの腕を振り解けずにいた。