三途の川のお茶屋さん
「これこれ十夜、握り込むでない。折角映る映像が消えてしまう」
!!
慌てて握り込んだ手を離す。
「す、すいません!」
息を呑んで何も映さなくなった宝珠を見つめていれば、しばらくしてまた、宝珠は映像を映し出す。
宝珠にはまさに今、俺が知りたくてたまらない幸子の現状が映し出されていた!!
幸子は両手を拘束された状態で揺れる船底に倒れていた。
「幸子っ!」
こちらから見る限り、幸子に大きな怪我は見受けられない。
俺が胸を撫で下ろしたのもつかの間、幸子に程近い客用の長椅子の下から、ズルリと何かが這い出て来た。
なんだ!?
神威様と二人、思わず宝珠に食い入るように顔を寄せた。
襤褸のムシロに包まれたそれは、……人? ……いや、あれは!
「タツ江婆!?」
懸人と幸子の乗る船には何故か、タツ江婆がいた。