三途の川のお茶屋さん
くすぐったくて見上げれば……、十夜の笑顔とぶつかった。
「……あの、十夜? なんでちょっと、嬉しそうなんですか?」
「嬉しいに決まっている。これからは幸子の笑顔も泣き顔も、全部俺のものだ。笑わせるのも泣かせるのも、俺だ。そう思えば、内心はちょっとどころではなく、狂喜乱舞するほどに嬉しい」
十夜はわざと冗談めかして答えた。
だけどもたらされた言葉の温度は、冗談だなどと割り切れない。
「っっ、……十夜っ」
十夜の深い愛情を目の当たりにすれば、十夜の表情どころか、その輪郭までぐずぐずに溶けてしまった。
「……幸子、泣くなよ?」
十夜は「泣かせるのも俺」と言ったのに、実際にボロボロと涙を流す私を前にすれば、トントンと幼子をあやすみたいに優しく慰める。
「泣きますよ。そんなふうに言われたら、どう頑張ったって堪えられずに、泣いちゃいます」