三途の川のお茶屋さん
「幸子、やはり今日はここで仕事をする事にする」
「え?」
これはとても珍しい事だった。いや、これだけではない。
先に十夜が言っていた、店が回らなくなったら手伝う、という発言にしてもそうだ。
これまで十夜は、店の経営にはノータッチのスタンスだったはず……?
「すまんが奥の一席を使わせてもらうぞ」
だけど私が何か言うより前、十夜は開店作業に勤しむ私の隣を通り過ぎると、店内の一番奥の席を陣取った。
「なに、心配しなくとも俺は別段営業の邪魔などしない。店が混めば席も空ける」
「いえいえ、私は別に十夜が営業の邪魔をするなんて思ってませんよ?」
「はははっ、そうか。まぁとにかく、俺の事は気にしなくていい」
言うが早いか、十夜は真剣そのものの面持ちで、持ち込み仕事に取り掛かる。
首を傾げつつも、私も残る開店準備に取り掛かった。