今日も君につままれ包まれる
放課後。

入学式の座席が隣で仲良くなった村瀬里花ちゃんと通学路が近いこともあって一緒に帰る予定だったけれど...


メールで今日は家族でそのままお祝いでご飯を食べに行くことになったそうで、明日からという事になった。



「ごめんねー幸葉!じゃまた明日〜!」



「ううん、また明日!」





私の両親はというと二人共仕事を抜け出しての入学式だった事もあって、講堂でビデオ撮影をしたら帰っていった。


昔から両親は忙しくて、鍵っ子の私はもう慣れているけど...
(少し里花ちゃん家が羨ましいな)



そういえば、今日は朝に転んだ後からまだ何も起きていない。



「さっさと家に帰って荷解きの続きしなきゃな」



不幸な事は出来るだけ考えないで、帰ろうと思い鞄を持った時ふと思い出した。



(図書室、開いてるかな)



昔から留守番が多かったこともあり、時間潰しに本を読むことが結構あった。


確か今日の校長先生の話でも本校の図書室の広さと蔵書数は県内唯一だ!なんて言っていたような。



(せっかくだし行ってみようかな)



三階の一年生の教室がある階から一階の図書室へ向かう。




「良かった、開いてるみたい」





ーーーどの位時間が経ったのか。いつの間にか日が沈みかけていた。




「さすがにお昼過ぎにホームルーム終わってからこの時間になるとお腹空くな...」




(もうすぐで下校時刻だし今度こそ帰ろう)



入った時は何人か利用している人は確認出来たはずが、いつの間にか私一人だけになっていた。




...いや、違う。








「誰も...いない...?」
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