キスすらできない。



何事っ!?と、体を起こそうにも、のしかかる重さにそれも叶わず。

暗い室内と寝ぼけた頭では混乱ばかりが増して正確な現状把握が出来ずじまい。

とりあえず、何かがっ!

何かが自分の上にっ!

なんて、一瞬は金縛りとか霊的な類の畏怖に震えたけれども、直ぐに起動した理性が正確な答えの予測を弾き出したのだ。

「っ…せん…せ?」

「………すーっ…」

あれ?

無反応?

ってか、これは寝息??

寝てる!?

流石にもう寝ぼけた意識は覚醒している。

冷静に感じ取る気配に今度は重さを意識して起き上がればなんて事ない。

暗い部屋を枕元の照明でぼんやりと照らしてみればら浮かび上がるのは布団一枚隔てで自分の上に倒れこんでいる先生の姿。

無反応であった姿はしっかりと目蓋を下ろし小さく寝息を立てているのだ。

「寝て…る」

着の身着のまま、仕事上がり直行かな?コレ…。

髪はセットされたままだし、ネクタイは外したみたいだけどワイシャツにスラックスだし。

上着はどこぞへ?

廊下にでも捨ててきたのか?

なんにせよ、どうやら帰宅直後であると把握する現状にはどうしたものか。

えー、えー、えーっ…。

あれえ?これどうしようか?

えっと、起こすべき?

でも、ようやくバッタリと休息を得ての爆眠なら起こすの可哀想じゃない?

でもでも、スラックスに皺ついちゃうし、このままじゃ寝苦しくない?

なんて、突然の事態にはどう対処していいものかと困惑してしまうものの。

……先生の寝顔って…新鮮。

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