社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
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19時。

修努が帰ってきた。

修努は着替えもせずに2階へ上がってくる。

「のどか! どういうつもりだ!?」

修努は怒ってる。

「秘書として、当然の仕事をしただけです。」

私は目を合わせずに答えた。

「じゃあ、のどかは!?
秘書じゃない佐倉のどかはどう
思ってるんだ!?」

「私は、修努の幸せを願ってる。
例え、それが浩子さんとの人生であっても、
修努が幸せならそれでいい。」

私は修努に背を向けた。

修努に涙を見せる訳にはいかない。

なのに、修努は私の肩を掴んで向き直らせた。

「だったら、なんでのどかは泣いてるんだ?」

修努の声が優しい。

「た、玉ねぎが目に染みたのよ。」

「どこに玉ねぎがあるんだよ。」

修努は、私の頬の涙を拭った。

「ハンバーグに入ってるわよ。
さっき、たくさん刻んだから、
まだ染みるのよ。」

私が答えると、

「ほんとに意地っ張りなお姫様だな。
素直に泣けよ。」

と私を抱き寄せた。
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