社宅は社長の家の2階でした【佳作受賞】
修努が結婚すれば、この人はその奥様のお父様に当たる。

それはそれで辛すぎる。

「では、失礼致します。」

私は一礼してその場を後にした。

フロントでタクシーを呼んでもらい、そのまま帰宅した。


晩ご飯は、ハンバーグにしよう。

米を研いだ後、玉ねぎを刻む。

今日は、やけに玉ねぎが目に染みるなぁ。

私は頬を伝う涙をそのままに、玉ねぎを刻み続けた。


2人分のハンバーグを作ってから気付いた。

修努、デートだもん。食べてくるかも。

いいや、ハンバーグ2個ぐらい、私が食べちゃおう!

あれ? おかしいなぁ。
玉ねぎの皮を捨ててないからかな?
まだ目に染みるよ。

私は涙を拭って、生ゴミを捨てた。
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